腕枕で眠らせて
会う前はどうなるかと思ってたけど、水嶋さんとご縁が出来て良かったな。
商品は大事に扱って貰えるし、お店に置いて貰えてるおかげでこちらの収入も増えたし、こうして会って話しても嫌な思いをしないし。
ずっと一人でやっていこうって、通販だけでいいやって思ってたけど、今はこうして水嶋さんと仕事が出来て良かったと思ってる。
お店を出る水嶋さんの広い背中を見ながらそんな事を考えてたら、突然振り向かれてなんだかちょっと慌てた。
「鈴原さん、お時間取らせちゃったから良かったら送りますよ。
もちろん電車でもいいですし…うちの店に車停めてあるんで、鈴原さんが良ければそれでも」
ドキン。と。
痛い音が私の中で鳴った。
目の前の水嶋さんは、いつもと変わらない水嶋さんだ。
穏やかな水嶋さん。
柔らかい笑顔の水嶋さん。
私の仕事相手。
信頼出来る仕事相手。
でも、男。
男。男の車…………
「…ありがとうございます。
じゃあお言葉に甘えて、車…乗せてってもらっていいですか?」