腕枕で眠らせて



「他人の車乗るの久しぶりだから、ちょっと緊張しちゃったんです」


「そうでしたか。どうぞリラックスして下さい。安全運転で行きますから」


「ふふ、水嶋さん本当に安全運転ですね」


「安全第一ですから。僕、ゴールド免許なんですよ。友達にはお前の運転トロすぎるなんて言われますけど」


「あはは、ヒドイ。私、水嶋さんの運転、好感持てるけどな」



水嶋さんのかけてくれたボサノバのリズムがゆったりとした空気を後押ししてくれる。


低くて穏やかな水嶋さんのお喋りと音楽が相まって、私を和らげてくれる。


大丈夫。




「鈴原さん」


「はい」


「お願いがあるんですけど」


「何ですか」


「サンキャッチャーをひとつ…特注していいですか?」


「え?」


「…僕が、欲しいんです。特注でひとつ、作って頂けませんか」


「ああ、もちろんいいですよ。デザインとかご希望があったら言ってください」



大丈夫。

水嶋さんだから、大丈夫。



「鈴原さん」


「はい」


「…………」


「……?」




「僕と、付き合ってもらえませんか」





海の見える静かな道路で、水嶋さんが路肩に車を停めた。







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