腕枕で眠らせて
水嶋さんは私の過去に何の関係も無いのに。
水嶋さんはアイツじゃないのに。
水嶋さんは何も悪くないのに。
なのに、水嶋さんが私を恋愛対象に見てると分かった瞬間。押さえられなかった。
目の前の穏やかで優しい顔が、卑しい男の影と重なって。必死に遠ざけようとして汚い言葉が溢れ出た。
あんなに優しかった人を滅茶苦茶に傷付けて逃げて。
最低な私。
消えてしまいたい。
カタン
カンをつまむペンチをテーブルの上に放り出して両手で顔を覆ったとき、スマホの着信が鳴った。