腕枕で眠らせて
ぽろぽろ、零れていく。
自分でも信じられないくらい。
「鈴原さん…」
水嶋さんの声が私の中をぎゅっと掴んで絞り出すみたいにぽろぽろと。
「ごめんなさい、水嶋さん…。私、あんな事言うつもりじゃなかった。水嶋さんを傷付けるつもりじゃなかった」
泣く私に、水嶋さんが一歩近付いて、けれど躊躇うように半歩下がって。
「鈴原さん、泣かないで下さい。僕が悪かったんですから」
「っ、違うんです!水嶋さんは悪くないのに…!…私…私がいけないんです!私が勝手に…水嶋さんを、嫌な思い出に重ねてしまったんです…」
ゆるり吹いた夜風が二人の間を抜けて綺麗な沈黙を落としてくれる。
腕が届きそうで届かない距離の水嶋さんが戸惑いよりも心配を露にした眼差しで見ている。
あんなに傷付けた私を、なのに心配してくれてる瞳。
…優しい、水嶋さん。
私はポケットからハンカチを出して子供みたいに無理矢理涙を拭うと、パンダ目になってる予感を振り切って水嶋さんを見上げた。
「…ごめんなさい…聞いてもらって、いいですか…?」
私の言葉に、水嶋さんが唇をきゅっと引き結んでそっと頷いた。