腕枕で眠らせて
「…もう…こんな思いするなら、二度と恋なんかしないって…人が恐くて……男の人が憎くて……もう二年も経ってるのに、それでもずっと……苦しくて……」
痛い。苦しい。
でも、最後まで伝えなきゃ。
「…水嶋さんが私を好きって言ってくれた瞬間……あの時の事、全部思い出しちゃって…水嶋さんは全然関係ないのに……彼と重なって見えてしまって……自分が抑えきれなくて…
…水嶋さんは何も悪くないのに、私…全部水嶋さんにぶつけてしまった…」
涙でつっかえながら途切れ途切れに伝えた言葉が、どうか水嶋さんに届いてほしい。
「…ごめんなさい……ごめんなさい…水嶋さんは何も悪くないんです…」
拭いきれなかった涙がポトリとアスファルトに染みを作った。
灰色のアスファルトに黒く沈む染み。
私の心にいつまでも黒く沈む染み。
黒く沈みすぎてごめんなさい。
真っ黒で溢れかえって傷付けた。
優しい貴方を黒く汚く傷付けた。
ごめんなさい。水嶋さん。