腕枕で眠らせて
水嶋さんは。
たくさん、たくさん、泣いてしまった私に
触れる代わりにずっと、優しい眼差しで見つめ続けてくれた。
抱きしめる代わりに何回も、優しい声で私を呼び続けてくれた。
―――鈴原さん。
貴女の心を守っていいですか。
僕を好きになってくれとは言いません。
ただ、貴女の辛いとき少しでも側にいさせて下さい。
…フラれたのになんか往生際が悪いですね、僕。すみません。
水嶋さんはそう私に伝えて笑った。
夜の風のように穏やかに。春の風のように爽やかに。
水嶋さんの持った紙袋の中で
シャラリと
硝子の揺れる音がした。