腕枕で眠らせて
「鈴原さん、ここです」
夕暮れ、と云うにはまだ少し早い午後。
近所のカフェで水嶋さんは奥の席から私に向かって手を振ってくれた。
「すみません、待ちました?」
「いいえ、全然」
小走りで駆けて来た私に水嶋さんは久しぶりでも変わらない穏やかな笑顔で迎えてくれた。
店員さんに紅茶を注文して椅子に座りなおすと目の前にはニコニコ顔の水嶋さん。
「急にお呼びだししちゃってすみません」
「いいえ、それより出張お疲れさまでした。おかえりなさい」
「ふふ、ありがとうございます」
水嶋さん、なんだか嬉しそう。