腕枕で眠らせて
「そうですか、大変ですね。私の事は気になさらず」
「すみません…もう少しゆっくりしたかったんですけど」
それは、私も同じ。
もっと聞きたかった。水嶋さんのお土産話。
申し訳なさそうな表情と少し焦った表情を交ぜて、水嶋さんが頭を下げる。
「本当にお気になさらず。それよりお土産ありがとうございました」
私も頭を下げると、水嶋さんは「それじゃあ、また」と名残惜しそうに背を向けて歩き出した。
ひとりぽつん、残された席で飲む紅茶はどうしてかさっきと味が違う。
行き場のなくなった胸のワクワクは、水嶋さんのくれたキラキラの花束を指で撫ぞってゆっくり眠らせた。