腕枕で眠らせて
「だって社長、絶対あんたに未だ気があるじゃん。なのに一度振っておきながらお土産もらったりイチャイチャしたり、それって思わせ振り過ぎない?社長、可哀想」
どうやら佐知の中で水嶋さんはもう『社長』から修正が効かなくなったらしい。
て言うか別にイチャイチャはしてないよ。
でも、佐知に言われて改めて自分と水嶋さんの距離に違和感を覚える。
時々思わないでもない。仕事の枠を越えてるって。
けれど。あんな事があったにも関わらずあまりに水嶋さんとの関係が心地いいから。
この曖昧な距離に、ユラユラたゆたっていたくて。
「そりゃさ、美織が社長とつきあうつもりなら喜ばしい状況だけどさ。それは無いんでしょ?」
「…うん…」
「じゃあこれ以上近くなりすぎたら社長可哀想。期待持たせる前に少し離れなよ」