嫌いになれたら
第一章
季節は夏…
8月の上旬ごろにあった話。
私、七瀬愛美は中学時代から仲のよかった、野球部の男友達と一緒に久しぶりに遊んでいた。
彼の名前は、本郷恭介
恭介と私は大型のデパートに来ていた。
「んでよー…、あ!こんちわっす!」
ふと、恭介が立ち止まり私も顔を前に向ける。
前方には彼の中学時代、今の高校のOBの人が立っていた。
もちろん、私は恭介と仲がいいだけでその人の事はなにも知らない。
その人とふと目が合い、私もぺこりと会釈をする。
笑顔がかわいいなとかおもった。
笑ったら、くしゃっと少ししわが顔にできる。
その人の名前は、白井翼
専門一年生。
「よー!恭介久しぶりだな!なに、お前デート中?」
ニコニコして、私と恭介を交互にみる。
恭介はぷっと笑って、手をひらひらと左右に振る。
「違いますよ先輩、こいつは中学の同級生で仲良かったんすよ。で、久しぶりに遊んでただけっす」
そしたら、白井さんは急にニヤニヤしながら、まじか。と言う。
なんで笑ってるの意味わかんない。
「え、彼氏いたりするの?」
「え、私ですか?」
「なんで俺みるんだよ」
反射的に恭介を見てしまって、突っ込まれる。
いや、私にいるのかとか聞く?
失礼でしょ。どうせいるとなんかおもってもないくせにさ。
「いやぁ、いるように見えますか?」
苦笑いしながら答えると、逆にびっくりした顔をされる。
「え、なんですかその顔!」
「え!だって普通にいるとおもったし!」
「やぁ〜、私好きになるとか、相当物好きな人ですよ〜」
「そうっすよ先輩。こいつはあり得ない」
恭介に言われて、おい。とか突っ込んどいたけど、本当に私もそう思う。