血染めの鎖
ギロリと睨むリークに青年は肩をすくめる。
「彼女なら俺と一緒にいるヨ。あははっ、主人のところに戻りたくないんじゃなイ?まあそうだよねえ、君、鬼畜みたいだシ。彼女に危険な頼み事もしてたんでショ?
そりゃあ、戻りたくないよねエ。俺だったらすぐにおさらばダ。ってことで主人くン。奴隷ちゃんとはここで別れてもらがぴゃッ?!」
ズドーンッ
何故か唐突に飛ばされ、勢いよく岩に顔を沈めた青年。
これにはリークも目を見開き驚くしかなかった。
一体誰が青年を襲ったのか。
視線を崖先に向けると、そこにいたのは。
「なに勝手なこと言ってんだテメェ、この俺がいつ、だれに、アイツと離れるっつったよ、ええ?
ま、鬼畜ってことは正解だけどな」
「っトルガ!」
青年の頭を踏みつけ睨む少女。
それはまさに、探していたはずのトルガである。
「よう、リーク。ちょっとぶりだな」
ニィイッと牙を見せるトルガは、こちらを見つめる主人・リークのもとへ帰ってきたのだった。