血染めの鎖

「おや、王子サマんとこのお嬢ちゃんや。買い物かい?」


「はん?誰だテメェ」


「ははっ!噂通り、口が悪いなあんた!ま、子供ってのはそんだけ悪ぶってる方がいいけどよう」


「………うぜえ」



しかめっ面になるトルガに見知らぬ男はまた「ははっ!」と笑う。


何がンなに可笑しいんだよテメェ、と。トルガは今にもブチギレそうな様子。



「ああ、わりぃ、わりぃ。いやなに、ここらではお嬢ちゃんは有名なわけよ」


「俺が、有名ぃいっ?」


「ああそうさ。王子のお気に入りだってなあ。まあ若造共はよく思ってねえようだけどな」


「お気に入り、ねえ………」



毎日ゴミのような扱いをされてますが。それが特別でお気に入りに対する扱いなら即御遠慮させて頂きますが。


目でそう訴えるトルガ。
しかし目の前の男に通じなかったようだ。
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