血染めの鎖
「あー」と、至極面倒臭そうな顔をして頭をガシガシ掻くトルガ。


右手に握られている買い物リストをチラッと見ると、すぐ溜め息をつきポケットに突っ込んだ。



「しゃーねえ、とりあえずあのグロ生物共をこっから移動させるか」



そう言って足を踏み出す。

臆することなく魔族に近づけば、4体ほどいた魔族が全員トルガに視線を向けた。



[人間……]

[女子(おなご)カ…]

[殺セ、殺セ!]



3体の魔族が口々に言葉を放つなか、それまで一言も喋らなかった、巨大な黒獅子の形をした魔族が口を開いた。



[勇気アル小サナ娘ヨ、貴様ハ奴隷カ?]


「はん?俺か?奴隷だけど、文句あんのかテメェ」


[口ガ悪イ!口ガ悪イ!]

[ギル様ニ失礼ダ!]

[無礼ナ小娘メ!]


「うっせっ、よく吠える連中だなあおい。………ま、おかげでお前がこん中のリーダー格だっつうことは分かったけどなあ、黒獅子さんよう」


[……不思議ナ娘ダ。ナゼ、我々ヲ恐レナイ]


「はあん?え、なになにテメェら、もしかして『俺ら最強だぜお前ら平伏し恐れおののきやがれーっ』とかとか思っちゃってたわけ?

うーっわ、自意識過剰ーっ」



嘲笑うようにトルガが魔族を見据えれば、案の定、黒獅子以外のグロ生物が反応した。

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