血染めの鎖
[ガッ……アアアアアアアアアッ!!!]



一瞬。

何が起こったのか、黒獅子は思考を追いつかせることが出来なかった。

ただ分かるのは、自分の後ろで仲間の魔族が断末魔の叫びをあげたという事実。


『べちゃっ』という肉が落ち、血が滴(したた)る音が聞こえ、気づいた時には。



「こんなもん、かな」


[……ナニヲシタ]


「べっつにいー?ただ俺はポケットに入ってたもんぶん投げただけ。それ以外タネも仕掛けもございませえーんっ」



小馬鹿にしたような言い方に黒獅子は眉を潜め、倒れた仲間の近くに転がっている瓶を睨む。

微かに異臭のする液体の入った瓶。中身はぶち蒔(ま)けられ、倒れた魔族の体からはシュウシュウと煙がたつ。

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