血染めの鎖
「なんの御用でしょうか、お父様」



やや引きつった笑みだが、それも気にせず青年、もとい王子の目の前にどっかりと椅子(これまた無駄に装飾が…)に座る王は、「うむ」と言って口を開く。



「実は同盟国である大国・アンドレシアから書簡が届いてな。魔族対処について話し合うため、東西南北各国から使者を集めているそうなのだ」


「へぇ、そうなんですか」



で、まさか僕に行けと言うワケじゃありませんよね?


口には出さないものの、王子の目が王にそう語っていた。


しかし王は鈍いらしく、そんな訴えも届かなかった。



「お前に行ってほしいのだ。我が息子、リーク・メルよ」


「…………はい。わかりました」



たっぷり間を置いて返事をする王子。


内心はきっと、『ふざけんじゃねぇ』
だろう。

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