血染めの鎖
聞き覚えのある声にトルガは薄く目を開いた。

しかし、すぐ目を見開くことになる。



「なっ……お前は!」

「やあ、お嬢ちゃん。……んにゃ、トルガ。どうやらお前さんは運がいいみたいだねえ」



流浪人で笑い上戸のおにーさんが目の前に立っていたのだ。

おや、おかしい。

先程の黒獅子はいずこへ?


トルガがたくさんの疑問符を浮かべていると、ふいに噴水の向こう側から唸り声が聞こえた。


どうやら黒獅子は噴水の向こう側、つまりトルガたちから少し離れた所へふっ飛ばされたようだ。

しかし何故、一体何が起こったのか。



[小僧がっ……貴様、魔術師かッ]



血をぼたぼた垂らしながら立ち上がる黒獅子。その目は流浪人を睨んでいた。

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