血染めの鎖
しかし流浪人【ロアロ・メル】はへらりと笑って黒獅子を見ると人差し指を立てて振った。



「のんのん、魔術師なんてえ、だいそれた者じゃないさあ。俺はただの流浪人。そおーんでねえ、

ただのしがない錬金術師」



ロアロの目の前にふっ…と魔法陣のようなものが浮かびあがり、そこから槍が錬金された。

それを右手で掴むなり、ロアロは黒獅子に向かって思いきり投げつけた。

しかし軽くかわされてしまう。



[フン……錬金術師ト言エド、手腕ガ無ケレバ意味ガナイ。コノ勝負、我ノ勝チ………ガッ?!]


「余裕たくたくって感じかねえ、それがあんたの命取りさね」



一本のみならず、数多(あまた)の槍を錬金し、次々と四方八方から攻めるロアロ。

さすがに黒獅子も避けきれず、膝、腕、胴、……etcとあらゆる箇所をズタズタにされてしまう。


そしてその内の一本が目に刺さってしまった。



[グッ…アアアアアアアアアアッ!!]



目を押さえ地面に突っ伏す黒獅子。

その頭上の遥か上から、錬金によってつくられた槍が重力に従い黒獅子の脳天へと突き刺さった。



「馬鹿だねほんと、昼間っから攻めてくるからだよ。

……人間だって、油断も隙もあったもんじゃないかんねえ」


「ロ、ロアロ……」


「あ、お嬢ちゃん。怪我はないかい?……っと、そこの大男は気絶してるみたいだねえ」


「え? …あ、民間人」

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