血染めの鎖

「イテテ……おいリーク、何があっ……………はん?なんっじゃこりゃ…」



リークと同じように絶句するトルガ。


視線を別に移せば、馬車を運転していた男が消えていた。どうやら逃げたのか、客をおいて。

馬も鼻息を荒くして鳴きながら暴れていた。成る程、あの揺れは馬が暴れたせいなのだと推測できる。


ふと、リークたちを取り囲んでいた人々の内、一人の少女がスッと前に出た。



「あ、あのっ、………

私たちの村を、助けてくださいっ!」


「「?!」」



唐突に紡がれた言葉。

さらに絶句する二人にお構い無しと、少女だけでなく周りの人々も近づき、懇願する。


「お願いしますっ」「どうか、どうか!」「このままなんて、耐えきれない…っ」「私たちを助けてっ」


「魔族が私たちの村を襲ってくるのですっ!このままでは、もう……っ」



泣き崩れる少女。

< 49 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop