血染めの鎖
「イテテ……おいリーク、何があっ……………はん?なんっじゃこりゃ…」
リークと同じように絶句するトルガ。
視線を別に移せば、馬車を運転していた男が消えていた。どうやら逃げたのか、客をおいて。
馬も鼻息を荒くして鳴きながら暴れていた。成る程、あの揺れは馬が暴れたせいなのだと推測できる。
ふと、リークたちを取り囲んでいた人々の内、一人の少女がスッと前に出た。
「あ、あのっ、………
私たちの村を、助けてくださいっ!」
「「?!」」
唐突に紡がれた言葉。
さらに絶句する二人にお構い無しと、少女だけでなく周りの人々も近づき、懇願する。
「お願いしますっ」「どうか、どうか!」「このままなんて、耐えきれない…っ」「私たちを助けてっ」
「魔族が私たちの村を襲ってくるのですっ!このままでは、もう……っ」
泣き崩れる少女。