血染めの鎖
「盗聴とかの可能性あるんじゃねえの?」トルガが聞けば、「僕を誰だと思っている」ふふん、と笑うリーク。
や、あの、答えになってねえっす。
珍しく口に出してツッコまず、心の中で静かにツッコむトルガであった。
「あ。そうだリーク。俺たちの向かうアンドレシアって、どんなとこなんだ?」
「ううん、それがだな。父は何も教えてくれなかったんだ。
まあ、アンドレシアは大国らしいからな。僕たちの国より栄えているだろう」
「でもその分、魔族たちにも狙われやすいような気が……」
「さあな。もしかすると大国故、偉大な魔法使いが国を護っていたりしてな。
この話は終(しま)いだ。第一、アンドレシアについては自分の目で確かめてみればいいだけのこと。
それよりトルガ、ちゃんと“働いているだろうな”?」
「ったりめーだ。ちゃあーんと働いてるよ。俺の無駄にいい五感、ナメんじゃねえぜ?」
「ならいいんだ」
満足気に微笑むリークに、トルガはニヤリと笑った。