血染めの鎖
[ひ、ヒひっ!見ツけた、みつケタ!]
[に、んゲんじャあ!]
[しカモ女!]
ニタァ、と潰れた目元を歪ませる魔族がトルガをすぐ側で見つめていた。
岩など無いに等しい。
知らず知らずトルガの体は震え、「やっべ」と小さく声を漏らした。
[おマエ、喰うヨ?]
[オレら腹ヘッてんノ]
[ごチデーす!]
「ッハ、腐りきった魔族どもがっ!テメェらのお口にゃ、俺みたいなクソ汚ねぇ奴隷なんぞ合わねーっつの。
腹壊しても知んねぇかんな」
[ぎゃハはっ!この女、ばか、バカダよー!オレらは喰エレばなンでモいいわケ!]
[セーぜー腹ノ足しにデもナットけ!]
[つーワけでイタだキまっ…………………………、あ]
「え?」
ピシッ
なにやら亀裂の入った音が聞こえたような、気のせいか。
いやしかし、次の瞬間トルガの体は宙に投げ出された。
なんと、トルガたちのいた場所は丁度ガケ近く。魔族たちの重みで崖の先が崩れたようだ。