血染めの鎖
「チッ、クソが!」なだれ落ちてゆく岩をぴょんぴょん飛び移り、なんとか元の崖の上へ向かうトルガ。
[ギャは!おマえ『サル』みタイだな………ぎゃブフぅっ!]
「るっせ!サルゆーなっ」
悪口(あっこう)を叩く魔族の顔面にさえも踏みのり、やっとの思いで崖の上へ到着する。
トルガに踏み台として扱われた魔族は、みるみる間に崖下へと消えていったそうな。
「ったく、俺ァ『サル』じゃねっつの。あの鬼畜と同じこと言いやがって…っ。どーせ俺は色気もクソもねえ奴隷だよーっ!」
「そうでもないヨ?きみ、ふつーに可愛いと思うけどナア。少なくとも俺はネ」
「………へ?」
息切れするトルガ。の、その後ろ。
振り返ればクスクスと笑う青年がトルガを見据えていた。