血染めの鎖
まだ10歳とみえる少年が、こんなにも無表情でいられるものなのか。
この歳であれば普通、無邪気に笑っているものなのではないだろうか。
しかし目前の少女とておなじこと。この小さな子供はまだ6歳なのだ。
甘えたい盛りだろうに、はて親は一体どこなのだろう。
「おまえ、ほんとうにぶさいくだぞ。それだけカオにアザがあれば、元のカオもわからない」
少年の言う通り、少女の顔には無数のアザがあった。顔だけでなく、腕や足、首筋にも青いアザができている。
しかし、本当に酷いのはやはり少年のいう『カオ』だ。
口からは欠けた歯や、赤いモノがべっとりついた舌や歯が見え隠れしている。
鼻からも血が流れており、目は腫れてしまい、右目がちゃんと見えているのかも不安だ。
そして額(ひたい)には火傷の痕。見ていられない惨状である。