血染めの鎖
冷たい目で見つめる少年の視界にふと、鈍い光を放つ鉄枷が見えた。
よくよく見れば、それは少女の手と足を拘束しており、泥と血のついた鎖が彼女を『奴隷』だということを表していた。
「なんだ、おまえ、どれいだったのか」
「うぅッ……」
少年の冷たい目を蔑むような目と勘違いした少女は、さらに低く唸った。
そんな少女に一歩近づこうと足を前に出す少年は、またも少女に勘違いされてしまう。
その足で何するの?
また傷つけられるの?
痛い思いしなきゃなの?
嫌だ、嫌だよ、怖い、こわい、だれか
だ れ か た す け て
人に怯える少女にとって、相手が誰だろうと自分を傷つける側だと思ってしまうのだ。
それだからこその、本能。
「ああぁあぁああッ!」
「ッ、」
がぷり、と。
少女の鋭い牙が、少年の足にくい込むようかぶりついた。