血染めの鎖

ぎゅっと少女の手を握り、優しく立ち上がらせる。

無理矢理立ち上がらせるのは、汚い大人たちと同じになるということ。

この少女には、『優しさ』が必要だから。


「いっしょにいきよう。…ええと、おまえのなまえは、」

「ぐす、……ない」

「そうか。ならぼくがつけよう。

……トルガ、いっしょにかえろう。ぼくたちのイエに」

「、は…、なん、え、……え?」


いきなりのことに動揺する奴隷の手をそっとひき、少年はもう一度いった。

< 84 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop