血染めの鎖


「……。」

「救世主さま?」


突然黙りこんだリークに、どうしたのだと村娘が顔を覗きこんでくる。

苦笑して「なんでもないよ」と村娘から距離をとるリークであったが、ふと動きを止めた。


「救世主さま…?」

「あ、はい。あなたさま方ならこの村を救ってくださると思って。そうですよね?救世主さま」

「………。」


救世主さまってガラじゃないんだけどね。

聞こえないようポツリと呟いたリークに、村娘は気づくことなく「夕飯はどういたしますか?」と尋ねる。


そういえば、と。リークはお腹をさすった。

そういえば、朝から何も食べていない。崖の方へ朝行ってから、すぐこの民家に帰りずっと考え事をしていたのだ。

しかし不思議と空腹感はない。
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