血染めの鎖
「実際、あいつが消えて分かりました。魔族とこの村の関係が、ね。
さて、あなたも本性を表せばどうですかね?いい加減、受け入れてください。現実を、そして…「うるさいッ!」
ドンッ
リークの体が、あっけなく落とされる。
そう、崖の下に。
太陽に近づきすぎた若者は死ぬ。
逆も然りだ。
“真実に近づきすぎた者”もまた、堕落の底へ蹴落とされる。崖へ近づきすぎたリークは、深い深い闇の底へ…。
叫び、勢いのままにリークを谷底へ突き落とした村娘は、息が荒くなるほど焦っていた。
その様子は明らか動揺しており、体もまたカタカタと小刻みに震えている。
しまった。
こんなつもりじゃなかったのに。
でも、
「わた、わ、私は、私はっ悪くない…っ。違う、違うんだっ、私はっ、そんなつもりじゃあっ…!」
「ですよねえ、大事な生贄(いけにえ)を、殺しちゃあマズいですものねえ」
「?!」
そう、あなたは悪くない。
村娘が動揺し、体を震わせながら崖の方を見る。しかし、声の主の姿は見られない。
でも、この声は確かに……
「ああ、こっちですよ。こっち」
確かに、リークの声なのだ。