血染めの鎖
『こっち』だと言われても一体どこからなのか、見当もつかない。
どこにいるのだと辺りを見渡せど、それらしき人影は…「だから、あなたの後ろです」
「?!」
ポンッと肩に手を置かれた村娘は思わず硬直し、ひゅっと喉が鳴る。
恐る恐る後ろを振り返ろうとすれば、彼の顔がすぐ近くに。なんと、にっこりプリンススマイルで悩殺しそうな程近い。
驚いた村娘は「きゃあっ」と声を上げ、リークから離れるよう瞬時に後ざすった。
が、
「あ、」
ぐらりと揺れる体。
落下時特有の浮遊感。
ここは崖の端、つまり数歩進めば谷底へ……。
「おや危ない」
「!」
そういく前に、ぐいっと強引に腕を引かれる。
気づけば、目の前には男特有のしっかりとした胸板が。