血染めの鎖
男特有。それはつまり、この胸板はリークのものであって、いやしかしリークは先程自分が間違えて谷底へ落としたはず、……。
「???」一体これはどういうことだと疑問符を頭上に浮かべる村娘にリークは口を開いて説明する。
「ロア…、僕の兄さんは大変趣味に熱い人でして。錬金術、というものにハマって7年間も家を空けていたんです。しかも手紙で錬金術のすごいところを飽きないほど送ってきましてね。
そうなれば僕もいい加減、錬金術のヒトツやフタツを覚えてしまうわけですよ。…ここまで言えば、わかりますか?」
肩に手をおき顔を覗きこんで尋ねてくるリークに、村娘は無意識にこくこくと縦に頷いてしまった。
しかし、ふと思い出す。
リークは錬金術を使った。そうして今目の前にいる(というか生きている)。それはつまり、……。
「っ、じ、人体錬成をしたのですか?!」
人体錬成。
それは禁術とされる錬金だ。ヒトをつくるなど、なんて恐ろしい。
リークは“もう一人の自分”を作り出し、“オリジナルである自分”が裏で操作をしていた。
わかりやすく言えば、村娘が突き落としたリークは偽物だったのだ。