血染めの鎖
なんにせよ、これはマズい状況だ。だと言うのに、リークは僅かに口角を上げていた。
気づけば、いつの間にやら魔族が三体もやって来ており、とうとうリークたちを囲んでしまう。絶体絶命、である。
[ニ、ンゲン。余所者ノ、ニオイ]
[うマそうな、いいニオイだナァ]
[…、おンヤァ?そこニオるノハ村の娘じゃネェかい。ヨしよシ、こいツが今日ノ生贄か]
「あ…、……っ、こ、この方は、そのっ……」
[イ ケ ニ エ だ ヨ な ?]
「ッ!」
ぼたっ、
茶色く濁った魔族の口からあふれ。それは村娘の目の前にぼちゃりと落ちた。
その、強烈なる異臭。
リークの胸のなかで体を震わせる村娘に、リークはその震動を感じて静かに口を開いた。
「生贄、ね。自慢ではないが、僕を喰ったところで何の得もないだろう。強(し)いて言うなら、胃袋が破裂するだけだな」
[ひゃヒャっ!胃袋が破裂ゥウ?]
[笑ワセンジャネェヨ!]
[テメェヲ喰っタトころデ、ナンの足しニモナンネぇんダよバーカッ!]