そして 君は 恋に落ちた。


「顔色悪いよ?」


小林君が私を見て顔をのぞき込む。

少し顔を背けながら「大丈夫」と口を開くと……


「あ、松田。お疲れー」


瀬川君の声に、勢い良く顔を向けてしまった。




「お疲れ様です」


言いながら、いつもの柔らかい笑顔を張り付けトレーを私の隣に置く松田君。



「先輩はB定なんですね。
 自分も迷った結果牡蠣フライにしちゃいました」



今日始めて交わす言葉。


……朝から目も合わさなかったのに。何で…?




私の戸惑いに彼は気付きもせず、「座らないんですか?」と見上げてくる。

立ち去るタイミングを完全に逃した私は渋々また座るしかなかった。

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