そして 君は 恋に落ちた。
9
私よりも大きい手が頭を優しく撫で、それがあまりに温かくて。
まだ目を閉じていたい……そう思ってしまう。
〜〜〜♪〜〜〜♪〜〜
目覚ましがいつものように鳴り響き、目を開ける。
慣れない腕枕。
背中越しに抱きしめられてるこのシチュエーションに、眠れるはずもなく。
「うるせ…」
後頭部に息を感じ慌てて目覚ましを止めた。
「……お前の頭おもてーよ」
……なんて。彼の寝起き独特の掠れた声に、朝を二人で迎えた生々しさが足されて顔を向けない。
そんな私に気付きもしない彼、小林君は、盛大な欠伸と共にトイレへと旅立った。
何度確かめてもここは私の部屋なわけで……
二人寝ていたベッドも私のシングルベッドなわけで……
―――現実に、頭を抱える。
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