そして 君は 恋に落ちた。




「おい、早くしろ」

「分かってるよ!えっと…元栓OK、電気OK、戸締まり……うん、大丈夫!」


鍵を差し込んだ時にはすでに彼は歩き始めていて。急いで鍵を閉めて追いかけた。




「今日は用事あんのか?」

「? ないよ?」

「ねーのかよ!」

「急に何よっ」

「今日用事あるって言ってただろ、瀬川に」

「……あるよ」

「嘘つけ!」


ぎゃんぎゃん騒ぎながら通勤ラッシュの流れに乗る二人。

ぎゅうぎゅう詰めの電車の中では小林君はブツブツ文句言いながらも私を庇うように立ってくれ、いつもこの時間の電車を避けていた私はとても助かった。


「今日飲むぞ」

「飲みません」

「瀬川にお前が嘘吐きだって言いつけてやる」

「あのね、子供みたいなことやめてくれる?」


駅につきしばらく歩くと、私達の会社のビルが見えてきた。
それに足を踏み入れる私、と小林君。

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