そして 君は 恋に落ちた。



……もしかして。助けてくれた?



前にいる松田君を見るけど、彼は私を見ることなくPC画面に眼を移す。

そんな彼にお礼を言えはずもなく、私は彼から視線を逸らした。





それから、あっという間に仕事が終わって。

私も自分のデスクを片づけ始めた。





「お先に失礼します」


言って、エレベーターに乗り込むと、後ろをちらりと見る。

何故か、松田君が追いかけてくるような気がして。


……気のせいだったけど。





「お疲れ様でした」

「……お疲れ様でした」


受付を通る時、意識的に彼女達に目を向けないようにする私は、本当に馬鹿だと思う。


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