そして 君は 恋に落ちた。




「ねぇ、なんで鍋なの?」


「お前の誕生日だから」


「でも私が作るんだよね?」


「俺に作れってか?」


「……いえ。作らせていただきます」



あれから、スーパーに半ば強引に連れて行かれ、瀬川君と小林君とで何故か我が家で鍋を食べると言われた。

理由は、誕生日だから。


……よく分からない二人だ。



ただ、肝心の瀬川君はまだ帰れないらしく、私と小林君で準備することになった。


そんな、スーパーの帰り道。





「愛されてんな」


「? なに?それ」


「瀬川に、愛されてるよ。お前は」



人通りの少ない静かな道を歩く中、小林君の声は小さく聞こえた。

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