そして 君は 恋に落ちた。

「私が?……どうして」


「いつでもお前を探してる。
 今日だってお前と過ごすために必死に俺に捕獲させたりして」


フッと笑い空を見上げた彼の横顔は、とても哀しげで。


「気のせいだよ…」


気の利いた返しが出来ず、俯くしかない。




「あ…」


そんな私の隣で、何かに気付いたような声を出した小林君に、俯いていた顔を上げ彼が見ている方に顔を向けた。




私達が歩く小道の先に大きな道路があって。
その道路を見覚えある二人が横切っていた。


右手にあった重みが瞬時になくなる。


―――瞬間、コンクリートに落とされた買い物袋のグシャッという音が響く。


歩いていた二人は、その音につられるように顔を向けて―――彼と目があった。

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