そして 君は 恋に落ちた。
「見なくていい」
フワリ、優しく抱き締められて。
ああ、彼は知ってるんだ、と分かった。
「大丈夫、よ?」
思いの外小さな声で。
でも、なんとか笑って言えた。
松田君、買い物袋持ってた。
あの子と夕飯家で食べるのかな?
私と小林君に気付いて、何て思ったかな……?
付き合ってるって勘違いしちゃったかな。
さっきの電話は何?って聞きたいけど……きっと、何の意味もない電話だったに違いない。
『先輩、俺彼女出来たんでもう連絡しないで下さい』、的な……
それか、気付いてしまって重くなったのか。
私が彼を好きなことに―――
.