そして 君は 恋に落ちた。



「何? こいつ君のなの?」


「はい。 なので諦めて下さい」


「……だってー。

 そうなの?春日さん」



言って、両肩を瞬時に捕みバッと勢い良く引きはがした。

突然の事に頭が働かない。



そして小林君はニッコリ笑うと、顔を近づけ耳元で


「貸しにしとくよ」


と、囁く。



「じゃ、これは貰ってく。
 仕方ないから瀬川と二人で鍋つつくわ」


道路に落としてしまった買い物袋を拾い上げ、彼は「じゃあ、」と爽やかな笑顔で去っていく。

松田君を横切る際、「バイバイ」と告げて……




「………」



なんで……?



私が何も言わず居ると、松田君は一歩、近付いた。


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