そして 君は 恋に落ちた。



「何してるんですか、こんなとこで」



何に怒っているのか分からないけど……真顔の彼は怖い。



どうして?

なんでここにいるの?


彼女はどうしたの?




聞きたい事は沢山あるのに、言葉に出てこない。




「春日さん?」


首を傾げる彼は、いつの間にか私の目の前にいて。

私は瞬時に体を引く。が、逃がさないとばかりに腕を掴まれた。



「すみませんけど、俺怒ってるんで」



……やっぱり怒ってるんだ。

思って、体が固まる。


そんな私を気にせず彼は私の腕を掴んだまま、大通りに向かって歩き出した。



「えっ な、に…!」


目の前には、私の戸惑いなんて無視してどんどん歩く彼の後ろ姿。

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