そして 君は 恋に落ちた。


「松田く」


「とりあえず、俺の家行きますよ」



私を捕まえ歩く彼からの言葉に、咄嗟に腕を引いた。

けど、彼は力一杯掴んで放してくれない。



「放して…っ」


「嫌です」


「お願い!」


「嫌です。

 俺、言いましたよね?怒ってるって」



何故怒ってるのか理由も教えてくれないくせに。

なのに、私は彼のその強引さに喜びを感じてる。


……どこまでも馬鹿な女だ。







しばらく歩くと見慣れたマンションに着いた。

彼は私の腕を掴んだまま自動ドアの中に入ろうとする。


……流石に!


「やっ」

さっきより強い力で振り払った。

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