そして 君は 恋に落ちた。

……何を言ってるの？



言葉の意味が分からず答えに困っていると、彼は少し乱暴にエレベーターのボタンを連打した。


訳が分からぬまま、私はエレベーターの前に立つ。





そうしてエレベーターが着いてドアが開いた瞬間、後悔する。




「松田君…！」


部屋着に着替えた彼女がエレベーター内で彼に気付いた。
そして、安心したように笑った。



「心配したよ。良かったぁ」


安堵の声をあげる彼女は私に気付いてないみたいで。

居心地が悪くて仕方ない。



何でこんな所に私はいるの……？




「……帰る！」


彼の部屋から出てきたであろう彼女を前に、今度こそ彼の手を引きはがした。

私のその行動に、彼女は口に手を当て驚く。



そのまま走り出す私の後ろからは、彼の焦った声がした。


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