そして 君は 恋に落ちた。


「松田君、乱暴は…」


彼女はオロオロして彼の後を着いてきた。

そんな彼女を一瞥して、

「こうでもしないとこの人すぐ逃げようとするから」

と言って、エレベーターのボタンを押しドアを開けた。


そんな彼の表情は、今まで見たことないほど冷ややかで。彼女は言葉に詰まってしまう。



「松田君……彼女に対してそれは…」


あまりに可哀想。


私の言葉に「は?」と彼は思いきり振り返った。



「誰が、誰の、彼女なの?」


ハッキリと発音する彼に、私も言葉を詰まらせてしまう。



怖い怖い…!



「え、……あ、の…」


どうしたら良いのか分からず彼女をちらりと見るけど、彼女は眉を下げ恐々と彼を見ているだけ。

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