そして 君は 恋に落ちた。




「なあ、ここって…」


「だいじょーぶ。今日は会議で使われないから」


「いや、そうじゃなくて」


「ふふっ 優樹ってば心配しすぎ」


ほら、と戸惑う俺を彼女は半ば強引に引っ張り入れたのは、一番手前の小さな会議室だった。



「ここってね、いつも鍵かかってないの」


俺を中に入れた彼女は妖艶に笑い、後ろ手でカチャ…と鍵をかけた。




「……愛、俺まだ仕事あるから戻らないと…」



ここしばらく仕事内容のレベルが上がったせいで残業が続き、かなり疲れていた。

おかげで彼女ともデートらしいデートをしてやれなかったけど……


正直、その誘いに乗ってやれるだけの体力は残っていない。



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