そして 君は 恋に落ちた。
イライラしていたのもあって、いい気分はしない。
自分の分の仕事を手伝ってもらうなんて、普段の俺からしたら屈辱的だけど。
この時ばかりは流石に、『だったら手伝ってくれてもいいだろ』と思ってしまった。
それに気づいたのだろうか。
彼女が席を立ち、5分ほどして戻った時、「はい」と珈琲をくれた。
PCを見過ぎて目がチカチカしていたせいで幻を見たかと思うほど、俺には衝撃的で。
「え……いいんですか?」
恐る恐る受け取った缶は、いつも俺が飲んでる物だった。
見上げると、先輩はそのまま俺の隣にきて、
「分からないのなら今のうちに聞きなさい。
自分で考えるのも大切だけど、ロスを考えるなら聞いた方が早いわ」
言われて、気付いた。
……もしかしたら、先輩は俺のために残ってくれた?
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