そして 君は 恋に落ちた。




今までまともに話した事なんてなくて。

正直、この経理部の中でも一人でいることのが多い先輩が、俺のためにこうして時間を作ってくれた事に、恥ずかしいやら嬉しいやらで。

「ありがとうございます…」


それでも、戸惑いながらもお礼を口にした。





春日先輩は、見た目は正直パッとしないけど。仕事の早さと正確さは誰にも負けない人で。

先輩から教わって、仕事の処理能力が断然変わったのを瞬時に感じた。



「先輩、ここなんですけど…」


「これなら……この、これを使ったら早いわ」



二人でPC画面を見ながら処理していくと、あっと言う間で。

腕時計をたまたま見たら、すでに21時を回っていた。



「先輩、あとは明日お願いします」


「え? ……ああ、もうこんな時間だったのね。ごめんなさい」


やんわり伝えたつもりが、先輩は俺に謝ってきた。



――ってか、教わってたの俺だし。



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