そして 君は 恋に落ちた。


“いま会社出た。”



打ってる最中、後ろから来た人にぶつかった。


チッと不意に上げた顔。


でも、視界に入ったのはぶつかったサラリーマンではなく、紺のパンツスーツの女性の後ろ姿。




春日先輩だ……



気付いて、声をかけようと近づく。

その距離、10メートル。


………だけど、急いでいた足が速度を落とした。


先輩の隣にいる背の高い男性に気づいたから。






……あれは、営業の瀬川さんだ。


先輩の同期で、いつも一緒にいる人。






後ろ姿を見ながらしばらく観察していると、瀬川さんは楽しそうに先輩に話していて、先輩はそれに淡々と答えていた。


むしろ、つまらなそうに。


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