そして 君は 恋に落ちた。
5階の非常階段で泣く彼女に、
「これからは“同僚”としてよろしくな」
薄く笑って告げた時―――
見られている気配がした。
不意に顔を上げると、そこには春日さん。
――――あ。
放心状態の俺を一瞥して非常階段から室内へ戻る先輩に、俺は何も言葉が出ない。
心の中で呟いたのは、
―――嘘だろ。
ただ、それだけ。
「優樹……本当にごめんなさい」
「……いや。俺も悪かったから」
言いながら、頭には何の感情も読み取れない春日さんのさっきの表情がチラつく。
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