そして 君は 恋に落ちた。



「春日先輩も残業ですか?」



突然の声に、先輩は体をビクリと震わせゆっくりと顔を上げた。

その表情は、何故か呆けたよう。


「自分はお先に失礼します」

でも特に気にもとめず、鞄を持ち笑顔で挨拶をした。







今日の先輩はいつもと違いアイシャドウや口紅をつけ、スーツもパンツスーツではなくスカートを履いていた。


もしかしたらデートの予定が入ってるのかもしれない。……と、思いながらエレベーターまで歩き始めた。

、ら―――


「ま、松田君!」



その必死な声に、すぐに振り向いた。





そこには、顔を赤らめた先輩が立ち上がり何か言いたそうに俺を見ていた。






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