そして 君は 恋に落ちた。





すでに受付には人はなく、薄暗いホールを二つの足音が響いていた。

俺は後ろの先輩に意識を集中させながら少し前を歩く。



「最近頑張ってるわね」


「え、そうですか?」


「ミスも無いし、課長が褒めてたわよ。仕事がさらに早くなったって。

 私もそう思うわ」


「ははっ 先輩から言われると一番嬉しいですね。
 うちの部署で誰よりも仕事が早くて正確ですから」



いつも仕事の確認だけで、普段はこんな砕けたように話す事なんてない。





ふわり笑って話す先輩に、俺は浮かれていた。


よく考えたら気付いたはずなのに。



先輩がいつもと違うことに…――――



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