そして 君は 恋に落ちた。
急ぎ足で立ち去る先輩を追いかけられなくて。
あの人が本気で一夜限りの思い出にしようとしてるなら、そうした方がいいと思う。
だって。俺は年下で、部下で。
彼女の気持ちを受け取れないのに、止める必要はないだろう…?
―――それでも。
先輩の口から、聞きたい。
どうして俺に抱かれたのかを。
それを聞いたら、何かが変わる気がして……
そして時間は淡々と過ぎ、終業時間。
部署内に「お疲れ様でした」の声が複数聞こえ始めてすぐ、先輩は慌てたように鞄に全てを詰め込むと、
「お疲れ様でした。お先に失礼します」
一際大きな声で部署を後にした。
その普段と違う行動に驚きつつ、訳も分からずその後ろ姿を追ってしまった。
……どうしたいんだ、俺は。
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