そして 君は 恋に落ちた。



ガラス戸ごしに見えたのは、春日さんと瀬川さん。

二人はかなり密着しながら何かを話していた。



「あれ何?!」
「近づき過ぎーっ」


女子の悲鳴が聞こえる中、目が離せない。


そうこうしていると、瀬川さんが目をこちらに向けた。

同時に、強張る俺の顔。


俺に目を向けた瀬川さんは、口元を緩ませると先輩の顔に近づいた。

それを見ていた部署みんなが小さな悲鳴をあげた瞬間―――何事もなかったように離れ、背中を向け歩き始めた。


……もしかして挑発された…?



瀬川さんとのやり取りをみんなに見られていたことに気付きながらも、何事もなかったようにデスクに荷物を置き、淡々と仕事の準備をする先輩。


……けど、その頬は少し赤みがかっていた。


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